続・ほのぼの日記

いらっしゃいませ!ほのぼのしてもらえるようなエピソード、あり〼

SPECの再放送が決まって楽しみだけど

SPECの再放送が決まったことを、Twitterのトレンドを見て知った。

詳細をクリックして、衝撃。

本放送が2010年、つまり今から10年前。

SPECなんてつい最近のドラマのように思うのに、あれから10年も経ってたなんて。

 

 

画像を見てると、さらに懐かしくなる。

本当はグロいものが苦手なのに、頑張って見てたのは、加瀬亮さんと戸田恵梨香さんのペアが大好きだったから。好きな俳優さんが出てると、無理してでも見てしまう。

 

 

また見られるなんて、

「高まるぅ〜〜」

 

 

グロいシーンは本当に苦手なんだけど、異形のものが暴れ出すとか、あまつさえ血飛沫が飛ぶとか、心臓が縮み上がるんだけど、その当時は一緒に見てくれる人がいたから耐えられた。

実際、ドラマ自体も面白かった。

だけどなにより、誰かとドラマを見る時間というのを楽しんでたんだと思う。

一緒にハラハラして、一緒に感動して。そういうの、醍醐味だよね。

 

 

SPECという文字を見て、そんなすてきな時間——ある寮生の部屋ですごした時間が蘇った。

 

 

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東京のとある町、住宅街の中にたたずむ、3階建。

ハタチ前後の女の子が、共同生活をいとなむ。

そこがわたしたちの家だった。

 

 

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当時、わたしたちは大学の最終学年を迎えていた。

気楽な学生でいられるのもあと少し、つばめ寮を追い出されるまでのタイムリミットも確実に近づいていた。

そうなると、寮生活が惜しくなる。寮生と暮らせるのもあと少しだと思うとさみしくて、大学が終わったらまっすぐ帰るようになっていた。

 

最初はあんなに嫌だったのに、人は変わるものである。

 

 

そう、面白い変化があった。

最終学年になって、なぜか寮生が続々と彼氏と別れはじめたのだ。

そうなると、必然的に休日が暇になる。

用事がないから、寮にいる。

寮生同士でつるむ。

むしろその方がずっと楽しかったりする。

仲が深まる。

 

 

もしかして、因果関係は逆だったのかもしれない。

つまり、寮生と過ごす時間の方が楽しくて、恋愛関係を持続する努力をしなくなったんじゃないだろうか。もちろん積極的にそれが目的で別れた人はいないだろう。だけど、寮生とのおしゃべりがもりあがって、彼氏に連絡をとるのが後回しになることはあっただろう。彼氏の家にいくよりも、寮にいる方が楽しいと気付いてしまった人もいるかもしれない。

そんな体たらくじゃ、フラれてもしかたない……かもしれない。

 

 

……なんて。

夜遊びすることもなく、夕飯の時間には揃ってしまう面々を見ていると、そんなふうにうがった見方をしてしまう。

かくいう私も、少なくとも卒業するまでは彼氏は要らないなあと思っていた。

残りの時間は、寮生にささげたい。 

恋人?面倒面倒。 

 

 

SPECが放送されたのは、そんなふうに寮生活が楽しくて仕方がない時期だった。

わたしは部屋にテレビがなかったので、寮にいる4年間はほとんどテレビというものを見ていなかった。食堂には大きなテレビが置かれていたけど、先輩がいる頃はチャンネル権がなかったし、先輩になる頃には、テレビへの興味を失っていた。

 

だけど、加瀬亮戸田恵梨香が出ることを知ってしまった。

特に、加瀬亮さん。

本人はきっと喜ばないが、顔がとっても好みだ。昔「ありふれた愛」というドラマで見て以来、どハマりしてしまった。重たい前髪からのぞく自信のなさそうな目、色白の肌、意外と骨ばった体。横顔がとてつもなく綺麗で。たまに目がキラキラ〜っと輝くときは、本当にグッとくる。

 

 

「見るしかない」

と思った。

ストーリーはよく知らなかったけど。

 

 

しかし、食堂は21時には閉まるし、見る方法がない。

うーん、あきらめるしかないかな。

予告見る限り、ちょっと怖そうだしな。

そう思っていたら、ある寮生が誘ってくれた。

 

 

「わたしの部屋テレビあるけど、見る?どうせわたしも見るしいいよ〜。散らかってるけど」

 

 

優しい!!

実際、本当に散らかってたけど(失礼)、ありがたくお邪魔させてもらうことになった。毎週毎週、あきもせず。

一緒に食堂で夕ごはんを食べ、「じゃあ何分後にお風呂で」と約束して、風呂場でまた落ち合い、湯船に浸かっておしゃべりをする。「じゃあ髪乾かしたらそっち行くね」と約束して、しばらくして彼女の部屋にのこのこ出向く。約束したのにだいたい彼女は髪の毛が濡れたままで、ドラマが始まってからドライヤーを使い始める。

「うるさいよ」

って文句をいうと、CMの間に乾かしてくれる。

人の部屋なのになんとも図々しいものである。

ベッドにはコリラックマのぬいぐるみが転がっていて、怖いときはそれを抱きしめさせてもらった。あれがないと困る。主人公の当麻さん、けっこう激しいんだもん。毎回貸してもらっていたら、最終的には、部屋に行った瞬間に「ほいよ」と渡してくれるようになった。やっぱり、優しい。

 

ドラマが終わると、勉強の時間である。4年生なのでそれなりに忙しい。「図書室で」と約束して、勉強道具を取りに帰る。図書室でまた落ち合って、深夜まで一緒に勉強する。

彼女は就職するまでにとりたい資格があるとかで、毎晩カリカリと勉強していた。

 

 

書いてみて思う、なんだこれ、恋人か。家族でもこんなに長いこと一緒にいない。

よくもまあ、飽きもせず嫌にもならず、一緒にいてくれたものだ。

マイペースなわたしにイライラしたこともあっただろうが、なんだかんだ辛抱強く付き合ってくれて、ありがたいことこの上ない。

 

 

SPECの映画版も彼女と一緒に見に行ったが、こちらはグロさがパワーアップしていた。伊藤淳史さん演じる男性の手が……今思い出しても肝が冷える。

映画館では当然コリラックマがないので、彼女の腕にしがみついて、「終わったら言って!わたしが見られるようになったら教えて!!」とお願いした。

見られるようになったら、

「見てない間、なにがあった?」

なんて聞いたりして。

迷惑だったに違いない。 

 

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SPECの再放送、楽しみ。

楽しみだけど、今度は彼女もコリラックマもいないのがさみしい。

 

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うるさいよ